17・18世紀の琉球をめぐる歴史叙述における眼差しの複数性の研究

17、18世纪琉球历史叙事的多元视角研究

基本信息

批准号：
16720042
负责人：
樋口大祐
金额：
$ 1.41万
依托单位：
Kobe University
依托单位国家：
日本
项目类别：
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
财政年份：
2004
资助国家：
日本
起止时间：
2004 至 2006
项目状态：
已结题

项目摘要

2006年度は琉球の歴史叙述について、2本の論文を発表した。1本目は「多重所属者と『平家物語』-『喜安日記』をめぐる-考察-」である。『喜安日記』は、1609年のいわゆる「島津入り」とその後の琉球国王一行の虜囚体験を、堺出身の茶人で国王側近の「喜安」という日本人の視点から記述したという体裁を持つテクストであり、叙述の多くの部分が、『平家物語』における平家の都落ちに関わる記述を踏まえ、換骨奪胎した形で書かれている。本論は、『喜安日記』のテクストが、宗主国となった日本の古典テクストを引用しながら、そこに多義的な意味空間を創造し、宗主国の歴史理解に回収されない、琉球独自の視点による歴史認識を生み出している点を分析した。また、そのような認識を生み出したテクストが、16世紀の琉球と日本の両者に跨って生きた多重所属者に仮託されていることの意味を問い、そこから東アジア比較文学研究の方向性についての展望を開こうとした。2本目は「『球陽』の歴史叙述-漢文文化圏周縁部の説話群-」である。『球陽』は18世紀中葉の琉球国王府で編纂を開始された、琉球国三番目の「正史」であるが、年代記的な枠組みを保持しながらも、前二者と比較して説話的な記述が目立つ。また、その列伝的な部分からは儒教的な思想・理念もうかがえ、漢文文化圏の歴史叙述としての特性を顕著に備えているものと思われる。以上の特性の分析を踏まえて、本論では最後に、『球陽』を一国文学史の中に無理に位置づけるのではなく、韓国や越南(そして日本)の歴史叙述とともに、中国を中心とする漢文文化圏周緑部の歴史叙述として比較研究の対象とすることの意義を強調した。以上が2006年度における主な研究実績である。他に、本研究と関連あるものとしては、17世紀以後の東シナ海域における、人々の移動の歴史への眼差しを含む、佐藤春夫『女誠扇綺譚』(1925年)について分析した、「接触空間としての台南・安平港-佐藤春夫『女誠扇綺譚』における「出会い損ね」をめぐって-」がある。

2006年，他发表了两篇有关琉球历史叙事的论文。第一个是《多重从属关系与《平家物语》——对《基恩·尼基》的研究。《吉安日记》是以一位出身堺、与日本关系密切的日本茶师“吉安”的视角，描述了1609年所谓的“移居岛津”以及随后琉球国王一行人被囚禁的经历。故事的许多部分都是根据《平家物语》中对平家沦陷的描述进行修改的。本文认为，《纪安日记》的文本在引用宗主国日本的经典文本的同时，在其中创造了一个意义模糊的空间，并从历史理解中没有体现的独特的琉球视角创造了历史理解。我们分析了造成这一情况的因素。此外，我们将质疑引起这种认识的文本被赋予了16世纪居住在琉球和日本的多重联系这一事实的意义，并由此探索东亚比较的方向我试图开辟一个新的文学研究视角。第二本书是《《久代》的历史叙事——中国文化区边缘故事群》。《琉球》是琉球王国的第三本“正史”，于18世纪中叶开始编撰于琉球王国，但它在保持年代框架的同时，却比前两本更具轶事性的描述。脱颖而出。另外，该书的传记部分暗示了儒家思想和思想，作为一部中国文化的历史记述，它似乎具有显着的特征。基于对上述特征的分析，本文得出这样的结论：《九阳》不应被强行置于一个国家的文学史中，而应被视为韩国、越南（和日本）的历史叙事，他强调了以中国为中心的中国文学作为文化领域周边绿地历史叙事的比较研究课题的意义。以上是2006年的主要研究成果。此外，与这项研究相关的是佐藤春夫的《Nosei Ougi Kitan》（1925）的分析，其中包括对17世纪以来东海人民流动史的回顾“台南和安平港作为空间”。：关于佐藤春雄的《Nosei Ougi Kitan》中的“错过的相遇”。