金融危機時における銀行バランスシートリスクと貸出行動の誤認識問題

金融危机期间银行资产负债表风险和贷款行为的误解

基本信息

批准号：
18K01693
负责人：
井上仁
金额：
$ 2.75万
依托单位：
Sapporo Gakuin University
依托单位国家：
日本
项目类别：
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
财政年份：
2018
资助国家：
日本
起止时间：
2018-04-01 至 2022-03-31
项目状态：
已结题

项目摘要

本研究の目的は，金融危機時において，銀行の倒産リスクを誤って測定することにより銀行貸出行動を誤って認識してしまう可能性を実証的に検証することである．まず銀行の倒産リスクを測定する変数として2つの変数に着目した．1つは規制自己資本比率である．これはバーゼル規制で用いられる指標であり，簿価情報に基づいて銀行が公表している．制度上，銀行経営者の裁量によって恣意的に決定できる側面があり，先行研究でも批判がある指標である．もう1つは市場自己資本比率である．これはマーケットで評価された株主資本を用いた指標である．銀行は株式発行によって資本を調達しており，株式市場は当然，銀行の倒産リスクを株価に反映させる形で評価する．ここに銀行経営者の裁量が入り込む余地はない．本研究で，1つ目の規制自己比率を用いた場合には，銀行貸出行動において「追い貸し」仮説が支持される実証結果が得られ，2つ目の市場自己資本比率を用いた場合には「貸し渋り」仮説が支持される実証結果が得られた．加えて，標準的なコーポレートファイナンス理論に基づいてこれら2つの自己資本比率の決定要因を分析したところ，2つ目の市場自己資本比率は標準的な理論が示唆する要因によって決定されている一方で，1つ目の規制自己資本比率はそれらの要因では説明できなかった．これらの結果から導かれる本研究の結論は，不適切な指標である規制自己資本比率を用いて銀行の倒産リスクを計測することで，銀行貸出行動において本来は観察されないはずの「追い貸し」行動が分析上誤って表出している可能性があり，真の銀行行動は「貸し渋り」であるということである．このように銀行貸出行動を誤って認識することが銀行政策に与える影響は大きく，金融危機時における貸出行動に対する誤った認識を基に誤った政策が実行されることにもなりかねない．ここに本研究の意義と重要性を見い出すことができる．

本研究的目的是实证验证金融危机期间银行贷款行为可能因错误衡量银行破产风险而被误解的可能性。首先，我们关注两个变量来衡量银行的破产风险。一是资本充足率监管。这是巴塞尔法规下使用的指标，由银行根据账面价值信息发布。由于该制度的原因，银行管理者可以任意确定某些方面，这也是以往研究中一直受到诟病的一个指标。另一个是市场资本充足率。这是一个使用市场评估的股东权益的指数。银行通过发行股票筹集资金，股票市场自然会通过股价反映银行的破产风险来评估银行。银行管理层没有自由裁量权的余地。在本研究中，当我们使用第一个监管资本比率时，我们得到的实证结果支持了银行借贷行为中的“额外借贷”假说，而当我们使用第二个市场资本比率时，我们发现得到的实证结果支持‘ “贷款短缺”假说。此外，当我们基于标准公司财务理论分析这两个资本充足率的决定因素时，我们发现，第二个市场资本充足率是由标准理论提出的因素决定的，而第一个监管资本率却不能由标准理论提出的因素决定。通过这些因素来解释。本研究得出的结论是，通过监管资本比率这一不恰当的指标来衡量银行的破产风险，可以避免银行借贷行为中不应出现的“过度借贷”行为。分析中的表述是错误的，而银行的真实行为是“不愿放贷”。这样，对银行贷款行为的错误认知会对银行政策产生重大影响，在金融危机期间，可能会基于对贷款行为的错误认知而实施错误的政策。由此可见本研究的意义和重要性。